イチゴの季節



マーサさんが誘ってくれれば、夕方、愛犬のボブも一緒に散歩に出かける。


住まいの近くから伸びる下り坂は、子供の時、学校から帰宅するときによく歩いた近道だ。


市街地を見下ろすカーブのところには、野イチゴが群生している。今年は、なり年で、通るたびに、真っ赤な野イチゴが目にまぶしいくらいにたくさん実をつけている。


マーサさんは、僕なんかよりもこのあたりの“事情“に詳しい。ここの畑は、「持ち主が消毒するから、この土手の野イチゴは食べられない」など、貴重な情報を持っていて、僕は、安心して、野イチゴを食べることができる。


英語にabandence という言葉がある。


これもマーサさんから始まって、我が家の今年のトレンド言葉になっている。言葉の意味は、あふれるほどにたくさん、というような感じ。


実際、マーサさんの畑からは、いつも食べきれないほどの野菜が取れるし、近所からもよく野菜をもらう。彼女に言わせれば、こちらが感謝を忘れなければ、自然や宇宙は、あふれるほどの恵みを与えてくれるのだという。


 少し膨らみ切れていない、野イチゴを残して、熟したものを摘み取っていれば、翌日には、また一面に真っ赤な実がなっている。


よく見ると、葉っぱの影のほうに、大きな実がある事がわかった。雨の日の翌日には、実はさらに大きくなっていた。


 子供の時は、学校の帰り道に、野イチゴと、ビワをよく食べた。今考えると、あの時、イチゴやビワを食べる時の気分は、宇宙に通じていた。


大人になって、野イチゴの楽しみ方も少し変わった。野イチゴをパンケーキに入れると、風味がよくてとても美味しい。茂みに入ってイチゴを摘んで口に放り込むときも、それなりに楽しくていい気分になる。


2021/5/6




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