上記の表題は、最近仕上げた小作品に付けたタイトルでもある。
メルト・ダウンという言葉は、東日本大震災の折の原発事故によって広く知られるようになった。聴いた感じがあまりにも重く、希望の対極にあるような響きがある。
東日本大震災の惨状が、この言葉でさらに救いがたいものに感じられた。
白い大理石で、何かが解けて崩れるような形を、何となく作ったのは4~5年前のこと。
おそらくこのメルト・ダウンという言葉と、世の雰囲気を無意識のうちに感じながら、それを作ったものの、作品として完成させるまではいたらなかった。
ここ数年、僕が作っているのは、抽象的な形だが、実は、ほとんどの場合、これらは「鳥」をあらわしている。鳥とは、つまり飛翔=自由への思いが強いのかもしれない。
最近、小さな黄色い鳥(大理石)を作った。
模型などを置いておく棚にあった、例のメルトダウンの大理石の彫刻が目に入った。何気なくそれを手にとって、小さな鳥の彫刻を上にのせてみた。
最初にちょっとした違和感があったが、すぐに
「メルティング・ダウンからの飛翔」という言葉が浮かんだ。
「これいいよねー」とひとりごちた。
つまりこの作品は、アッサンブラージュだ。(アッサンブラージュとは寄せ集めという意味で、彫刻の技法としても知られている)
マーサさんに聞くと、
メルト・ダウンという言葉は、人がかなり落ち込んだりしたときにも、その状態をあらわすときに使うという。
そう、どんなに前が見えないないように思える時でも、人間の心の中には、希望がある。
目に見えない翼が眠っていて、いつでもそれを広げる準備をしているのである。
4/28/2021
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