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島原石と干し柿



 島原石と干し柿、この二つ、実は今年に入って私が大好きになったものです。


 まずは島原石(溶岩・安山岩)がどういう風に好きになったかを説明しましょう。


 つまりそれは彫刻の材料としてという意味です。夏から秋にかけて島原石に思いが深くなる出来事が、これまた二つありました。


 一つ目は、先のエッセイにも書きましたが、地元の青雲寺の参道にあるかなり昔に作られたの仏像群を久しぶりに見たこと(こちらの仏像は小長井石でできています。小長井石は島原石より目の細かい安山岩)。そして二つ目はふとしたことから立ち寄った、市内にある霊丘神社で、島原石でできた、鳥居、灯篭、そして狛犬に触れた事でした。


 何と言いますか、その時、それらの彫刻の見事さに感動しながら、これらが私が生まれ育った同じ風土から、同じように生まれてきたのだということを、心から悟ったのでした。


 それからというもの、その辺に転がっている島原石を使って彫刻を彫り始めました。いつも使っている御影石や大理石はこちらが強い思いを投げかければ、強く返してくれる感じです。ところが島原石はどんどんと私を引っ張ってくれる感じなのです。楽で楽しい。



 さて今年は干し柿をたくさん食べました。毎年マーサさんが作っていましたが、私は子供の時から干し柿があまり好きではありませんでした。


 今年は少々干す時期が早かったそうです。強い日に当たったせいで硬く仕上がった干し柿を作業の合間の空腹に任せてかじりつくと、そこに何とも言えない甘さと自然さを感じました。体に対する自然さでした。


 それからというもの、マーサさんが作った干し柿は、私が全部食べてしまいました。母が作った干し柿も毎日食べています。


 若いころは外側にある珍しいものに気を取られていたのでしょう。私もこの歳になって、ようやく自分の内側に目が向くようになったのかもしれません。


そこには豊かなものがまだまだたくさんありそうです。



2022作 STEAM MAN



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