彫刻を彫りながら思う

私にとって彫刻は人生の縮図である、という思いを持ち始めてからもうずいぶんとたちます。今もその思いに変わりはありません。思いや夢を現実の上に実現していくのを、仮に人生とすると、イメージを素材の上に実現していく彫刻の仕事にも、ぴったりり当てはまるからです。このイメージがどこからやってくるか、人生においては夢や理想がどこからやってくるかという問題もあるのですが、それを実現するとなるとこれはまたダイナミックで面白いということになるのです。自分の描くビジョンが実現するというのは、何にもまして楽しいことであるし、そのプロセス自体にもいろいろなドラマがあって、愛おしくなることさえあります。とはいえ、思い通りにいかないというのもまた人生。さすがにいろいろ味わってきましたが、そういうものを受け入れるのも豊かさの一つであって、苦楽思い合わせて両方を楽しめればいいのかもしれません。苦があるから楽もより味わい深いものになるということだし、闇を知るから輝くこともできるのではないでしょうか。彫刻を彫りながら、そんな人生の深まりへ思いを致すのは楽しいものです。





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