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車屋さんの芸術



年末はやることが多い。


 何でそうなるのかと言えば、やはり人は一年の終わりを重視していて、これは年が明けるまでにやらなくてはならない、と思うことが結構あるからだろう。


 熊本で参加しているグループ美術展の、案内の記事を新聞社にお願いに行ったり、図書館に本を返しに行ったりと、街で車を走らせているうちに、車のオイル交換をしなければならないことを思い出した。


 今乗っている車はとても気に入っている。22万キロも走ってくれた、わが友ともいえる存在だ。この車にもっと長く乗るためには、定期的なオイル交換は欠かせない。


 用事を済ませたその足で、いつものメカニックに立ち寄ることにした。


「こんにちはー。まだ仕事納めてなかったですね。よかったー。」


メカニックのMさん「今日までですよ。オイル交換ですか、優秀ですね。」


「野島さんは理想のお客さんですよ。車を大事に乗ってくれるからね。」


「これ無しにはどうしようもないからなー。これまでよく走ってくれたよ。」


「いやー、野島さんにしかこんな話ししないんだけどね、、」とMさん。


「変わった話は大歓迎ですよ。」


「車って同じ車種でも代が変わると、新しいデザインになるでしょ?あれが出る時って、やっぱりちゃんと新しさを感じるんですよ。毎回そうなんだよな。これってすごくないですか?」


「おお、なるほどねー。Mさんも芸術家だね。気づくところが面白いよ。」


「車って芸術だと思うんですよ。」


「おお、いいですねー。」


「最近はね、なんでこんなところにこの部品がついてるんだ?と最初思っても、だんだんとそれを付けた人の気持ちが分かるようになってきたんだよ。」


「そういうことが感じられるというのは豊かなことだね。」


「それにしてもこの間、野島さんちに行った時に見た石の丸い作品があったでしょ。あれは真円に見えたな。真円って、実は作るのがものすごく難しくて、普段よく見る円も本当の円じゃないんですよ。でも人間の目って、それを真円と認識するんだよね。


(彼は本物の芸術家だ)(心の声)


「確かにあれはゆがんだ丸だよ。でも真円って何か神秘的だよね。ゆがんだ丸でもそのように感じるということは、とてもすてきな感じがするね。嬉しいコメントですよ。」


「はは、また話込んじゃいましたね。来年も頑張ってください。」


「お互い、いい年にしましょう」


202212/29



2008年作 くぼみのある形 (文中の作品ではありません)

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